# フォトグラメトリで3Dモデル化した世界遺産の島をインタラクティブな立体映像でダイナミックに体験 - 後編
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#Photogrametry #フォトグラメトリ #活用事例 #クリエイターTips
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空間再現ディスプレイ/Spatial Reality Displayを活用しているクリエイターのコンテンツ制作Tips 第4弾になります。
今回は、広範囲のデジタルアーカイブのコンテンツ制作を得意とする太陽企画株式会社の大西悟さん、阿久津敏さんの「デジタルBOX軍艦島」のコンテンツ作成とより魅力的に表示するノウハウを語っていただきます。
それでは大西さん、阿久津さんのTips解説をお楽しみください。
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まだ前編をご覧になっていない方は、こちらからお読みください:[フォトグラメトリで3Dモデル化した世界遺産の島をインタラクティブな立体映像でダイナミックに体験 - 前編](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/jp/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part1/)\
後編では、前編で紹介したフォトグラメトリモデルをELF-SR2に映し出す際のTipsを紹介します。
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## 安定した展示を行うためにポリゴン数やテクスチャ数の最適化
軍艦島資料館に設置されるPCのスペックに合わせて3Dモデルのポリゴン数やテクスチャ数の最適化を行いました。今回は大型モニターのELF-SR2で展示を行うので可能な限りクオリティを高めるようにチューニングしました。最終的にモデルのサイズは500万ポリゴン、テクスチャー数は8Kサイズ20枚としました。フォトグラメトリは細部の形状や質感を再現しようとすると青天井でモデルとテクスチャーの容量が増えてしまいます。大容量のモデルやテクスチャーの描画の負荷が高まると様々な負荷がかかり不具合の原因になる可能性があるのでこのようにチューニングを行います。
![最適化された軍艦島の画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-photogrammetry-1.webp){.img100}
![最適化された軍艦島の画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-photogrammetry-2.webp){.img100}
【ELF-SR2でズームして見られる仕様なので、均一的なクオリティに見えるように調整しました】
![30号棟](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-photogrammetry-3.webp){.img100}
![30号棟](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-photogrammetry-4.webp){.img100}
【1916年に建設された日本最古の鉄筋コンクリート造 7階建アパート 「30号棟」】
![地獄段](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-photogrammetry-5.webp){.img100}
![コンクリートアパート群](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-photogrammetry-6.webp){.img100}
【軍艦島の名所「地獄段」やコンクリートアパート群も念入りに調整しました】
## フォトグラメトリで3Dモデル化した世界遺産の島をELF-SR2でダイナミックに体験するために
ELF-SR2での実装はUnityを使用しました。軍艦島だけのモデルだけではなく島の周辺には海を配置し、臨場感を高める為に環境音も入れています。待機時は軍艦島をゆっくりと回転させてコントローラーの案内表示をしています。全ての世代の体験者が直感的に操作できるようにマウスではなくゲーム用のコントローラーを用いました。体験者がコントローラーのボタンを押すとインタラクティブにモデルの回転やズームを行うことができます。長時間の滞留を避けるために2分間の時間設定を行いました。ELF-SR2の特徴である視線の位置でモデルの見える角度が変化することに気づいた体験者が、さらに食い入るように軍艦島を楽しんでいたのが印象的でした。また、時間に軍艦島の色の変化が体験できるように昼光色と夕景色の光源を用意して体験者が選べるようにしました。
![デジタルBOX軍艦島の画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/digital-box-gunkanjima-1.webp){.img100}
![デジタルBOX軍艦島の案内画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/digital-box-gunkanjima-2.webp){.img100}
【待機中は自動で島を回転させ、コントローラーの操作方法を表示しています】
![デジタルBOX軍艦島の体験画面](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/digital-box-gunkanjima-3.webp){.img100}
![デジタルBOX軍艦島の体験画面](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/digital-box-gunkanjima-4.webp){.img100}
【1回の体験時間は3分間とし、右上にカウントダウンの表示を付けました】
## ディスプレイELF-SR2での表現のこだわり
今回のELF-SR2の実装作業では、海面の透明マテリアルを正しく表示させるために多くの労力を費やしました。特にシェーダーについては特別なシェーダーを作成し、ELF-SR2がシェーダーのAlphaチャンネルを正しく設定し使用できるようにしました。また専用の透明処理ロジックを追加しました。海面マテリアルにおいて、正確な反射と屈折効果が非常に重要です。マテリアルが反射プローブ(Reflection Probes)と屈折効果を正しく使用できるように、自作の反射と屈折シェーダーを使用しました。深度バッファの問題については、一般的に透明マテリアルは深度バッファに書き込まれないため、ELF-SR2では透明オブジェクト間の深度順序を間違うことがあります。この問題を解決するために、カスタムレンダリングパイプラインやデュアルパスレンダリングを使用しました。また、今回はUnityのHDRP(High Definition Render Pipeline)を使用しています。このパイプラインは高度なグラフィックスとリアルタイムのパフォーマンスを提供し、特に透明マテリアルの処理において優れた柔軟性と品質を実現します。
![海面の画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/display-elf-sr2-1.webp){.img100}
![海面の拡大画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/display-elf-sr2-2.webp){.img100}
【波の質感にこだわりました】
## さらなるデジタルアーカイブ化とその表現方法をもとめて
今回のプロジェクトでは、軍艦島の全体の一部しか撮影やレーザースキャン計測ができていない印象ですが、明治、大正、昭和のタイムカプセルとも言えるこの場所のデジタル・アーカイブは未来に大きな価値をもたらすと考えています。デジタル化することで、より多くの人々がその歴史と文化を学び、保存する手助けとなるのではないかと思います。チャンスがあれば今後とも、さらに多くの軍艦島の遺構のデジタル・アーカイブを行っていきたいと考えています。そして、空間再現ディスプレイELF-SR2とUnreal Engine 5を使ったハイクオリティで新しい表現方法にもチャレンジしたいと思います。
![軍艦島全体のサンプル画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-sample-1.webp){.img100}
![軍艦島の部屋のサンプル画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-sample-2.webp){.img100}
![上から見た軍艦島のサンプル画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-sample-3.webp){.img100}
![軍艦島側面のサンプル画像](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/taiyokikaku-photogrammetry-part2/gunkanjima-sample-4.webp){.img100}
【Unreal Engine 5を使ったリアリスティックな軍艦島サンプル】
## 「デジタルBOX軍艦島」のメディアでの反響
長崎文化放送さんのニュース番組で「デジタルBOX軍艦島」が紹介されました。
ELF-SR2を使った展示について詳しく紹介されています。 \
[VRで軍艦島を自由に体感!軍艦島資料館に県内初導入「空間再現ディスプレイ」](https://www.ncctv.co.jp/news/article/15192857)
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長崎市軍艦島資料館 \
HP: https://nd-park.jp/gunkanjima \
住所:長崎県長崎市野母町562-1
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株式会社太陽企画では本記事のような、デジタルアーカイブコンテンツの制作依頼を受け付けております。
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![株式会社太陽企画のロゴ](/Products/Developer-Spatial-Reality-display/img/tips/common/logo/taiyokikaku.webp){.img100 .bg-white}
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